東京高等裁判所 昭和56年(ネ)938号 判決
耕地整理組合あるいはその組合長が組合規約の定めるところに従って仮換地の指定を行うに当っては、控訴人の主張するとおり、耕地整理施行地の真の所有者が何人であるかということまでを詮索することなく、単に登記簿上の所有名義人を名宛人として仮換地指定処分を行うことも許されるものとする余地があるものと考えられる。しかし、仮りにこのような考えに立ったとしても、登記簿上の所有名義人を名宛人としてなされた仮換地指定処分の実体法上の効力自体は、単に登記簿上の所有名義を有しているにすぎない前所有者に対して生ずるものではなく、あくまで当該土地の真の所有者に対して生ずるものであることは、前記の耕地整理法五条一項の規定からして明らかなものといわなければならない。
そうすると、耕地整理施行地を他に売り渡してその所有権を失った者は、未だその登記簿上の所有名義を有している場合であっても、もはや仮換地指定処分の効果を享受する余地がないことになるから、その土地について仮換地指定義務の確認を求め、仮換地の指定の申請に対する不作為が違法であることの確認を求め、あるいは、耕地整理組合あるいはその組合長がすでになしたと主張している仮換地指定処分が存在しないことの確認を求める法律上の利益を有しないものというべきである。
(中島 塩谷 涌井)